【映画】「いつだってやめられる 10人の怒れる教授達」~爆笑必至!不遇な天才達の風刺コメディ~
バイト先で働いているとこれからやる映画の予告が否が応でも耳に入ってくる。
それを聞きながら日曜日に何を見ようか考えるのが結構楽しい。
数ある作品の中でもこれは絶対見ようっ!と決めていた作品がこれ
イタリアン・コメディ「いつだってやめられる 10人の怒れる教授達」
それでは早速紹介していきましょう!
あらすじ
2009年、ギリシャから始まった欧州危機はイタリアにも拡大、深刻な不況はローマの大学研究員にも影響し研究費は削減、収入もカットされ職を追われるものが続出する。
そんな "不遇な天才達" は稼ぎを求め海外へと転出していき「国の頭脳流出」と言われた。
主人公の神経生物学者 ピエトロ・ズィンニもそんな不遇な天才の一人。
大学を追われ、一発逆転を狙い研究者仲間と合法ドラッグ(スマートドラッグ)製造で一儲けを企むも逮捕され服役していた。
そんな中世間では新たな合法ドラッグが蔓延、法の網をくぐり抜けるドラッグにパオラ・コレッティ警部は手を焼いていた。
毒をもって毒を制す。彼女は前科の帳消しと引き換えにピエトロに操作の協力を持ちかける。捜査チームの結成のためピエトロは国内外に散ったかつての仲間を再び結集する。
とにかく能力の無駄遣いが面白い
僕は学者の "好きなことに没頭してズレてしまった感" がとても好きなんです。
一つのことを極めることが出来る時点ですでに変人確定。
この作品に出てくる研究者達も全員変わり者。我が強すぎてまとまらない×2。
常識とかけ離れた彼らの真剣な言動が面白くないわけないんです。
そんな彼らにとっての問題は基本ズレている。
バンで遺産を破壊、古典考古学者のアルトゥーロは歴史を冒涜してしまった己を恥じて発狂。ハンドルを手放し神に祈りだしてしまう。
そんな彼に記号学者のマッティアが真っ先にかけた言葉は
「大丈夫。あれは帝政期のものだ。オリジナルじゃない。」
そこじゃないだろう!と見ていた常人の我々は思ってしまうが彼らにとって大事なのはそこなのだろう。
記号学者がローマの歴史が分かるのか、と思うだろう。
マッティアだけでなく全員に言えたことだがそれぞれの専門分野に関してだけでなく皆他分野にも博識なのだ。本物のインテリってこうなのかな。
個人的に一番好きなのは理論解剖学者のジュリオ。
ぱっと見た外見だけでその人の体の状態を分析、弱点を見つける能力を生かし喧嘩して暮らしていたところをピエトロに呼ばれた。
よくアニメで見る首筋を手刀で打って失神させるやつ。あれをやるも失敗。
「おまえは臓器反転症だな!」の台詞には皆笑ってしまっていた。
真顔で常識外れなことを言う彼らには芸人とかと質の違う面白さには誰もがハマりますよ。
コメディなんだけど風刺がすごい
この作品、本当に面白くてずっと笑えるんだけどもしっかりと社会風刺がなされている。
これまで真面目に勉強して学位を持ったエリートとして生きていたのに突然の不況で自分の地位があっさりと奪われる。
理不尽極まりないが社会が助けてくれるわけない、だって社会が奪ったんだから。。
これはなにもフィクションではなく現実に起こっている問題。
「主席の学者がゴミ収集員」
こんな記事が監督のシドニー・シビリアの目にとまったのが今作作成の発端。
高学歴かつそれに見合った頭脳を持ちながら運に見放され能力に合わない職しか得られない天才。
日本は「研究費が低い国」として有名。
この国でも "国の頭脳流出" は現在進行形で起きているのです。
理系大学生の端くれとしてもこの話は他人事ではないので考えさせられた。
不遇で鬱屈した高学歴エリートが必死に必死に頑張る姿には感情移入せざるを得ない傑作です!
終わりに
全然まだまだこの作品の魅力、面白さを語れていないのですが語りすぎると見てもらえたときの衝撃が減ってしまうのでこのへんまでにしておきます。
これ本当に面白いのに日本で全然上映してないんですよ、本当にキレそう。
アメリカの作品と漫画原作邦画ばっかやる日本のシネコンにはいつか一言もの申したいものです。
じつは今作「いつだってやめられる 10人の怒れる教授達」は第二作目。
「いつだってやめられる 7人の危ない教授達」の続編に当たります。
彼らが逮捕されるまでが見られます。
終わり方から続きの三作目があることは間違いないので日本に上陸する前に1,2どちらも見るべきです絶対。
10人のを見てからでも見る前でも是非見てください!(僕は後から7人を見ましたw)
左は一作目のみ 右は1,2どちらも見れます。
ブルーレイは日本の機器でも見られますよ!
こちらのamazonビデオでもみることが出来ます。個人的にはこっちの方がオススメです。見やすいので。